ママ友いじめから知った人生で大切なこと
私の体験が少しの希望になることを願って
小学1年

46.夏祭りで接触の後。信頼を重ねた友人関係が壊れて消えた

 

運動会が終わって、ひらり達もかなり小学校に慣れてきた。

私も朝の送りを集合場所の「四季公園」までにして、3人で登校して行くのを見送るだけになっていた。

 

また、学校からの下校は1年生全員の集団下校がなくなった。

これからはクラスごとの下校になる。

 

これまで一緒に帰ることの多かった美鈴ちゃんは、クラスが違うので最近は一緒ではない。

ひらりは同じクラスの麻未ちゃんと下校してくるようになっていた。

 

2人で帰り道を歩きながら、一緒に遊ぶ相談をして帰ってくる。

 

ひらりと麻未ちゃんは、とても気が合うようだった。

なので、ひらりも麻未ちゃんも習い事があって毎日というわけにはいかなかったけど、頻繁に互いの家を行き来して楽しく過ごしていた。

 

また、帰り道で美鈴ちゃんと会った時は3人で帰ってくることもあり、その流れで3人で遊ぶこともあった。

下校が別になったけど、3人はこれまで通り仲良くしていた。

 

そんなこんなしているうちに、夏休みがやってきた。

 

今思えば。

私達親子が平和に楽しく過ごせていたのは、入学からたった半年。

この夏休みまでのことだった・・・。

 

嫌な予感

子どもが夏休みになったらなったで、私は忙しくなった。

ひらりのラジオ体操があったり、あさがおの観察があったり、宿題があったり。

 

まだ1年生なので、自分で考えてねと丸投げするわけにはいかない。

一緒に宿題の予定をたてたり、一日の過ごし方を考えたりした。

 

私が仕事をしている横で、ひらりは宿題をする。

 

すると、「ねぇ、ままー!」と声をかけられるのだ。

勉強が分からなくなると聞いてくる。

ちょっとなら良いんだけど、あんまり頻繁だと仕事にならないから困る。

 

その他に手間がかかったのはお昼ご飯。

自分のお昼なら適当に済ませられるけど、ひらりの昼食と思うとそうもいかない。

毎日メニューを考えるのが大変だった。

 

だけど、こうやってひらりと一日中一緒にいるのって久しぶり。

森林公園に行ったり、プールを出したりして、ひらりと夏を満喫しよう!

 

そんな最中でやってきたのは、地域の夏祭り。

お店もでるし、盆踊りもあるし、なかなか本格的。

大人も子供も楽しめるカジュアルな雰囲気のお祭りだ。

連絡先の交換を目撃

ひらりに浴衣を着せて、お祭りの会場へ行く。

今日は美鈴ちゃん&風華ちゃんと約束していて、3家族で夏祭りに参加する予定なのだ。

 

会場に着くと、美鈴ちゃんも風華ちゃんも浴衣を着ていて、アップにした髪型で少し大人っぽくみえた。

まずはみんなでお店をまわり、気に入ったものを買い込んだ。

 

お祭り会場の横には、まるでビアガーデンのようにたくさんのテーブルと椅子が並んでいる。

早めの時間だったので、まだたくさん席が空いていた。

 

子ども達はお喋りしながら、屋台グルメを堪能している。

私達ママ3人はビールで乾杯した。

 

買い込んだ屋台グルメを分け合いながら楽しんでいたら、お酒が大好きな細貝さんのビールがなくなってしまった。

おかわりを買ってくるね、と細貝さんは席を立つ。

 

まだ時間が早めなので、そんなに待たずに買えたのだろう。

少しして細貝さんがビールを持って戻ってきた。

 

すると、細貝さんの後ろに見慣れた人が。

というか集団が。

細貝さんと一緒にやってきた。

 

なんと、三津屋さん・時任さん・五之治さん・数藤さん・澤さんの5家族が、細貝さんと一緒にやってきたのだ。

ビールを買おうと並んでいたら、ばったり出くわしたらしい。

 

「そこで会ったんだけど、みんなで一緒に飲まない?」

細貝さんはご機嫌でそう言った。

 

細貝さんちの美鈴ちゃんと時任さんちの三美香ちゃんは同じクラス。

しかもお家が近い。

そのつながりで、三津屋さんのグループが付いてきたようだった。

 

私と三津屋さんの事を何も知らない細貝さんだから、みんな一緒に楽しもうと考えたのだろう。

 

それに。

運動会の時は様子がおかしかったけど、三津屋さんが私に何かしてくると決まったわけではない。

そこを心配するよりは、せっかくのこの機会を一緒に楽しんで、少しでも良い関係を目指す、そのほうが良いだろうと思った。

 

なので3家族+5家族の大所帯でお祭りを楽しむことになった。

 

いつも仲良くしている麻未ちゃんが来たことで、ひらりも喜んだ。

子ども達はお互いの浴衣姿を褒めあって、意気投合していた。

 

大人たちは大人たちで座ることになって、私の正面は細貝さん、細貝さんの隣が三津屋さんになった。

三津屋さんは私と目が合うと、ちょっと微笑んだ。

 

この前の運動会の時は様子がおかしかったけど、気のせいだったのかな。

45.運動会で感じた不穏な空気。まさかその悪口信じてるの? それぞれのペースで、徐々に小学校に慣れていった子ども達。 学校に入って初めての大きな行事は「運動会」だった。 ...

 

ああいう事は気にしないほうがいいよね。

三津屋さんとの関係を改善できるなら、それが一番だし。

 

細貝さんと私の会話に三津屋さんが入ってきて、3人でしばらく会話したけど。

三津屋さんとも普通に話ができた。

ああ良かった、三津屋さんと普通に会話できる日がくるなんてと思っていたら。

 

三津屋さんは今日ほぼ初対面であろう細貝さんと、連絡先を交換しはじめた。

細貝さんは同じ一年生女子のママ同士ということですんなりOKして、連絡先を教えていた。

飲みに行く約束

細貝さんはお酒が好きなだけあって、ぐいぐいビールをのんでいく。

そんな細貝さんに合わせて、三津屋さんが「私もお酒大好きなの~!」と言って2人で盛り上がり始めた。

 

(あれ、三津屋さんお酒そんなに好きだったっけ?)と思いつつ聞いていたら、隣に座っていた五之治さんに話しかけられた。

 

五之治さんは、私が話しかけると「ビクッ」とするので、あまり話しかけないようにしていた。

五之治さんから声をかけられるなんて珍しい。

何だろうと思って話を聞くと、子どもの夏休みの過ごし方についてだった。

 

あっという間に時間が過ぎて。

会場は22時まで開いてるけど、そうは言っても一年生ということで、早めに切り上げることになった。

 

席を立って帰りの準備をしていたら、ふと三津屋さんと細貝さんの会話が耳に入った。

 

「じゃあ今度飲みに行こうよ!私行きたいところあるの。」

「いいね、絶対声かけてね!」

 

細貝さんと三津屋さんはやけに親しくなっていて、一緒に飲みに行く約束までしていた。

 

仲が良いのは良い事。

なんだけど・・・。

 

この時ちょっと嫌な予感がした。

 

もし三津屋さんが私の悪口を細貝さんの耳に入れたら。

そうしたら細貝さんはどうするんだろう?

悪口を鵜呑みにして、私を遠ざけるだろうか。

 

でも。

私と細貝さんは幼稚園の年少さんからのお付き合い。

3年間信頼を重ねて円満なお付き合いをしてきた。

 

細貝さんは人の悪口を信じるような人ではないよね。

しかも三津屋さんとは今日知り合ったばかり。

私とは3年間お付き合いしている。

 

細貝さんだっていい年した大人なんだもの。

その辺の判断は自分でするよね。

 

そう思って。

私は胸に沸いた嫌な予感を打ち消した。

 

突然の親友宣言

異変を感じたのは夏休みが終わってからだった。

小学校が再開されて、今まで通りひらり達は3人で学校に通学していた。

ところが、最近美鈴ちゃんの様子がおかしいとひらりが言うのだ。

 

詳しく話を聞いてみると、美鈴ちゃんが急に怒り出して一人になろうとしたり、急に泣いたり睨んだりするそうだ。

夏休み前まではそんなことなかったので、どうしたんだろうと思う。

 

そうは言ってもまだお互い1年生。

成長の途中だし、虫の居所が悪かったりするかもしれない。

 

それに。

ひらりが感じたこと、ひらりが見ていたことが全部本当かもわからない。

だってまだ1年生だから。

 

なのでしばらく私もできる範囲で様子をみてみよう、そう思った。

 

そんなある日のこと。

ひらりが美鈴ちゃんと麻未ちゃん、3人で学校から帰ってきた。

私は途中までお迎えに来ていたので、道で3人に会った。

 

麻未ちゃんとバイバイすると美鈴ちゃんが1人になってしまうので、ひらりが美鈴ちゃんを家まで送ると言い出した。

美鈴ちゃんを送っていくというのは入学当初からよくやっていた事なので、いままで通り普通に付き添って行った。

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最近美鈴ちゃんの様子がおかしいと言っていたけど、ひらりと美鈴ちゃんは仲良さそうに手をつないで歩いている。

家の少し手前でバイバイするのもいつも通りで、美鈴ちゃんは大きな笑顔と大きな声で何度も振り返ってバイバイと言っていた。

 

心配してたけど、案外大丈夫そう?

美鈴ちゃんとひらりの様子をみて私は一安心していた。

深夜のメール

そんな事があった数日後。

あれは日曜日の夜だった。

時間は深夜に差し掛かろうという頃、一通のメールが届いた。

 

こんばんは、細貝です。

突然ですが、明日から美鈴は三美香ちゃんと一緒に学校に行くことになりました。

三美香ちゃんと美鈴は親友で、みみか、みれいと呼び合う仲なんです。

そういう事なんで、もう一緒には行きません。

どうぞ宜しくお願いします。

細貝

 

あまりにも突然で私はビックリ仰天した。

寝耳に水とはこのこと。

 

ひらりに事情を聞きたくても、日曜の深夜なのですでに寝ている。

しかも明日から??

連絡しようと思えば、こんな時間じゃなくたって。

もっと早くできたと思うんだけど。

 

あまりに突然のことでワタワタしていたら、増山さんからもメールが来た。

「細貝さんからメールがきたんだけど、何か知ってますか?」という内容だった。

 

やっぱりそうだよね、びっくりするよね。

これまで3人で協力してやってきたんだもん。

事前に相談もなく一方的に「一緒にいきません」なんて、細貝さんどういうつもりなんだろう?

 

何がどうなってるかさっぱり分からないから、明日はひとまずひらりと風華ちゃん2人で行こう、と増山さんと話し合った。

それから、突然こんなメールを送られても訳が分からないので、明日の朝ママ3人で話をしようとなった。

 

「明日の朝、詳しくお話を聞かせてください」と細貝さんに返信メールをして、ベッドに入ったけど。

なんで?どうして?が頭のなかに渦巻いて、なかなか眠れなかった。

2日間遊んで親友になる

翌朝、子ども達を見送った後。

私と増山さんは細貝さんのお家まで行った。

昨日のメールについて、詳しく聞く為に。

 

ちなみに、朝起きたひらりに「美鈴ちゃんが一緒に行かないって言ってるけど、何か知ってる?」と聞いてみたところ「何も知らない」と言ってびっくりしていた。

増山家の風華ちゃんも同じ反応だったそうだ。

 

細貝さんは家から出てきてくれたけど、玄関アプローチの一段高い所に立ったまま。

腕を組んで私達を見下ろす姿勢をずっと崩さなかった。

 

疑問に感じたことを質問をしてみる。

 

峰岸「どうしてメールが夜中になったのかな?」

細貝「美鈴があの時間に言ってきたの、それで急いでメールしたの。」

 

私は変だなって思った。

美鈴ちゃんとひらりが仲良しだったから知っている。

美鈴ちゃんは我が家に遊びに来た時、「いつも21時になると寝ちゃうの」と言っていた。

確かにたまたま珍しく遅くまで起きていたって可能性はあるけど、ひらりも風華ちゃんも寝てる時間だよ??

 

増山「うちの子が何かしちゃってる?それで一緒に行かないって事なの?」

細貝「う~ん、言いにくいんだけど、そうかな。美鈴ね、嫌な思いしてて。一緒にいるのが辛いんだって。」

 

そりゃ、子ども同士だもん。

うまくいってる時もあれば、揉めることもあるんじゃない?

そうやって付き合い方を学んで、大きくなるんじゃないのかな?

 

それに美鈴ちゃんだけが嫌な思いをしてるわけじゃないと思うよ。

こういうのって、お互い様なんじゃないかな。

 

増山「美鈴ちゃんが言ってること、細貝さんは本当かどうか確かめたの?」

細貝「え??確かめる?どうして?」

峰岸「まだ1年生だから、うまく説明できてなかったり勘違いしてる部分があったかもしれないよ?」

増山「今まで3人で協力してきたんだから、『美鈴がこんなことあったって言ってるけど、何か知ってる?』とか、私達親に相談してくれても良かったと思うよ?」

細貝「美鈴が傷ついて悲しんでいるっていうのが事実だから、それ以上の確認は必要ないと思う。」

 

てことは、美鈴ちゃんが言ってる話の事実確認はしてないってことなんだね。

綺麗に言えば「娘を信じてる」悪く言えば「子どもの言葉を鵜呑み」。

う~ん、これは困ったな。

 

峰岸「私達は幼稚園からのお付き合いで、これまで仲良くしてきたと思うんだけど、三美香ちゃんと親友って聞いてびっくりしたよ?」

細貝「そーそー、そうなの。聞いてくれる?みみか、みれいって呼び合ってね、本当に気が合うし馬が合うの!2人は親友なんだよー!土日に遊んでね、美鈴楽しかったって。本当にみみかちゃんがお友達になってくれて良かったぁ。」

増山「え?もしかして。土日に三美香ちゃんと遊んで、それで親友になったの?」

細貝「そうなの!すごいでしょう?もうね、2人は親友なの~」

峰岸・増山「・・・・。」

 

親友って響きが嬉しいみたいで、細貝さんは舞い上がってる。

そんな短期間で「親友」??

本当にそれ親友なの?

まじで大丈夫?

 

私と増山さんは、同じことを感じたと思う。

(細貝さんに何を言っても無駄だろうな。)

 

ただ、不用意にこの関係を壊してしまっては後で問題になるかもしれない。

穏便に距離を置かなくては。

 

峰岸「そっか、親友ができて良かったね。一緒に行かなくなっても私達と友達でいてくれる?」

増山「幼稚園からのつながりだもん、一緒に行かなくなっても変わらずお付き合いしたいな。」

細貝「うんうん、そうだね。これからも友達ってことで。」

 

そう言って私達はそれぞれの家へ戻った。

結局、微妙に様子がおかしい細貝さんに押し切られた格好になって。

私も増山さんも釈然としない思いを抱えたままだった。

 

復讐しようとした!と言われる

増山さん、細貝さん、私で話し合いをしたのは、「一緒に行きません」メールをもらった翌日。

月曜日の朝ことだった。

 

細貝さんとの話し合いに疲れたし、納得できなくて気持ちがすっきりしない。

 

だけど今日は昼から予定があった。

いつまでもこんな気分を引きずっているわけにはいかない。

 

今日はひらりを連れて法事に行かなければならないのだ。

これは2カ月前からすでに決まっていたこと。

学校にも連絡を入れてある。

 

私は礼服に着替えてお化粧をする。

着替えなくてはいけないので、ひらりの礼服を持っていく。

 

私は家で昼食を食べて、ひらりは学校で給食を食べて。

お昼休みになった学校へひらりを迎えに行った。

早退は連絡するもの?

法事の最中に電話が鳴っていた。

マナーモードなので、正しくはブルブル振動していた。

 

法事が終わって電話を確認すると、3回かかってきていた。

1度はブルブルしているのに気がついたけど、3回もかかってきてたとは。

 

そしてその電話の相手に驚く。

なんと細貝さんからの着信だった。

 

留守番電話を確認してみたけど、なにも録音されていない。

 

3回もかかってきてるので。

今すぐ折り返したいけど、いつまでも法事の会場にいられない。

なので家に戻って電話をかけなおすことにした。

 

家についてすぐに細貝さんに電話をした。

3回もかけてくるなんて、一体何の用事だろう?

 

私からの電話を待ってたようで、細貝さんはすぐに電話にでた。

 

「ごめんね、今日法事があって。電話にでれなかったの。」

「ふ~ん。そう。それで今日ひらりちゃんいなかったんだ?」

「そうそう、今日は午後から早退だったんだよ。」

「じゃあさ、なんでウチに連絡入れないの??」

「へ?」

「普通さ、早退するって分かってたら連絡してくるものだよね?」

「え?そうなの?そうかなぁ??この前ひらりが熱だして早退したことあったけど、その時だって連絡してないけど。」

「それとこれとは別。」

「え?別って??」

「今日は峰岸さんのおかげで、美鈴が帰り道で1人になったんだよ。わかる?」

「あ、そう・・・だったんだね。」

「あのさぁ。峰岸さん、美鈴に復讐しようとしたんだよね?そうでしょう?」

「は???」

「美鈴が朝一緒に行くのやめたから、それが気に入らなくてこういうことしたんでしょ?」

「んと、法事は2ヶ月も前から決まってて、今日突然早退したわけじゃないよ?それに美鈴ちゃんとはクラスが別だから、いつも一緒に帰ってるわけじゃないし、一緒に帰る約束もしてないよ。」

「なにそれ、言い訳?2カ月も前から分かってたなら私に連絡入れるべきでしょう?思いやりがないっていうか、気が利かないっていうか。自分の子どものことしか考えてないよね。」

「・・・え??」

「峰岸さんは美鈴に復讐するような人だよね。」

3年間の友人関係が崩壊した

そこでポロリと涙が出てしまった。

泣きたかったわけでもない、悲しみを表現したかったわけでもない。

 

本当に本当に悲しくて、ショックで。

自然と涙がこぼれてしまった。

 

涙声になってしまった私に、細貝さんは気が付いたのだろう。

 

話をやめて冷静になるでもなく、私を気遣うでもなく。

細貝さんは言葉をさらに重ねた。

 

人格を否定する言葉を。

何度も言葉を探して、どうやったらもっと傷つけられるのか。

どうやったらもっと泣かせることができるのか。

 

あなたはこういう人だよね、最低なことしてるよね、大人としてありえないなどなど。

その言葉の全てに。

私の心をズタズタにしてやりたいという細貝さんの気持ちを感じた。

 

それはとても残忍な細貝さんの一面だった。

 

細貝さんはこんな人だったんだ。

こんなことができる人だったんだ。

 

私はそれがショックだった。

 

結局。

どんな説明をしても、細貝さんは「子どもに復讐しようとしたひどい人間」というのを曲げなかった。

私の話など、はなから聞く気がなかった。

歩み寄り、理解する気などなかった。

 

最後はもう本当に疲れて。

ノリノリで私を責め立て続ける細貝さんに、シラけてしまった。

 

もう悲しいとも思わなかった。

ただどうやって電話を切れば穏便に済むか、そればかりを考えていた。

 

そんな時ちょうど夫が帰ってきた。

今だ、今切るしかない。

 

「お話し中申し訳ないんだけど、夫が帰ってきたから切るね。細貝さん、私は何度も説明したけど、復讐なんて考えてないし、細貝さんが言ってるような人間ではないはずだよ。これまで円満に3年間お付き合いしてきたじゃないですか。細貝さんが知ってる私を思い出して欲しいな。それじゃ。」

 

細貝さんの発言を思い返してみる。

私に対する人格の否定と蔑む言葉。

 

恐らくは。

三津屋さんから私の悪口を吹き込まれて、それで細貝さんはその気になっちゃってるんだろうな。

結局、私よりも三津屋さんを信じたってことだね。

悪口を言わない私より、悪口を言う三津屋さんの方を信じるんだね。

 

こうして。

3年間信頼を積み重ねてきた私たちの友人関係は、あっけなく崩壊した。