ママ友いじめから知った人生で大切なこと
私の体験が少しの希望になることを願って
3歳まで

7.お隣さんの気まずいシーンに遭遇。見てはいけなかった?

 

お隣の三津屋さんの里帰りが近づいた。
無事に産まれることを祈って、みんなでランチパーティをすることになった。

私は、三津屋さん親子が実家で楽しめるように絵本をプレゼントした。

最近、桃亜ちゃんは絵本に興味があるらしい。
なので荷物にならないよう、小さめの本を選んでみた。

堀内さんは、ベビー服を渡していた。

 

しばしの別れを惜しみながら、無事な出産を祈りながら、私たちは楽しい時間を過ごした。

数日後、三津屋さんは桃亜ちゃんを連れて実家へと帰っていった。

プール出動

季節はもう夏。
あまりの暑さに外出もためらわれる。

ひらりは外に出たそうにしてるけど、あせもになりやすいから長時間の外出は避けたい。

 

そうだ!こんな時にこそ、あれだ!

ひらりと楽しもうと、シーズン前に買っておいたプールを探す。
それを見たひらりは目を輝かせた!

「ひらり、プールはいる?」

ウンウン!と両手をガッツポーズにしながら、体をバウンドさせて同意している。
そのウンウンの仕方・・・(笑)

よほど楽しみらしい。

 

そういえば、これってひらりの初プールかも。

空気入れをシュコシュコして、空気を入れてゆく。
定番の子ども用プール。

膨らんだところで家の庭へ。
日陰になるよう場所を選んで水をいれる。

任務はカメラマン

「ひらり、プール楽しいね!」

待ちきれないようなので、水を入れながら入ることにした。

ひらりは親戚からもらった、お古の水着。
スイカの柄が可愛い。

 

最近の夫はというと。

ひらりと関わる時間が少しづつ増えてきた。
赤ちゃんの頃から比べたら、ひらりの反応がしっかりして楽しいのか、徐々に興味を持つようになってきた。

今のブームは写真らしい。
昼間の様子も撮っておいてとしきりに頼まれる。

(夫がひらりの写真を見たがるなんて、嬉しいなぁ)

私の今日の任務はカメラマンですな!キリッ!

 

いそいそと写真を撮りまくる。

良いのがいっぱい撮れた。
満足満足。

 

体が冷えるといけないので、1時間くらいでプールからあがらせようとする。
でも抵抗して出たがらない(笑)

「また明日、お天気が良かったら入ることにしよう。」

そう約束したら、ようやく出てきた。

ひらり、今日は楽しかった?
明日も楽しみだね!

スーパーでの出来事

夏の終わりか、秋のはじめか。
そんな時期に三津屋さんは帰ってきた。

予定通り男の子で「斗輝(とき)くん」というそうだ。

まだ赤ちゃんの斗輝くん。
すっごくカワイイ!

 

うちの子もこんなに小さかったっけ?と思う。
いつのまにか、ずいぶん大きくなったものだなぁ。

 

堀内さんと一緒に、相談して準備しておいた「出産祝い」を渡す。

これから寒くなるので斗輝くん用にはおくるみを。
お姉ちゃんになった桃亜ちゃんには、おやつの詰め合わせを渡した。

 

三津屋さんは「心遣いが嬉しいっ!」と、とても喜んでくれた。

斗輝くんがまだ小さいこともあって、ランチ会や外で会うのはしばらく控えることにした。

大きくなったら、一緒に遊ぼうね!

いつもは行かないスーパーへいく

結構肌寒くなってきたな、という頃。
支援センターで知り合ったママさんから勧められた、普段行かないスーパーへ行ってみることにした。

いつも行くスーパーとは逆方向。
歩道橋があるような大きな道を渡るので、あまり行っていなかった。

 

「あそこで今、お菓子フェアやってるのよ。」

ひらりに珍しいお菓子を分けながら、支援センターで会ったママさんがそう教えてくれた。

 

ひらりもそのお菓子を結構気に入ったようなので、行ってみることにした。

ベビーカーよし、荷物よし、ひらりの機嫌よし!

どんなお菓子があるのかなと、わくわくしながら出発した。

泣いて床に転がる姿

スーパーに到着!
あまり来たことがない場所だから、何がどこにあるのか分からず、きょろきょろしながら進む。

品ぞろえも良く、売り場もお洒落。
さすが大通りに面してるだけのことはある。

(たまにこっちのスーパーに来るのもいいなぁ。)

お菓子フェアが目的だったけど、予定外の品もかごへ・・・。

 

お菓子フェアの場所を探して進むと、それらしき場所を見つけた。

すると、その方向から泣き声が聞こえる。
やだやだと言いながら大声で泣いている。

子どもが床に転がって、手足をバタバタさせているのもみえた。

少し近づいてみると・・・それはお隣の桃亜ちゃんだった!

気まずい空気が流れる

こういう場合はどうしたらいいんだろう。
気が付かなかった事にしたほうが?それとも声をかけて助けに入るべき?

他のお客さんも桃亜ちゃんたちをチラチラ見ている。

 

三津屋さんが「もうお終い、行くよ。」と声をかけたら、桃亜ちゃんは更に泣いて床で暴れ始めた。

泣き声のボリュームが上がって、店内に響き始める。

 

抱っこ紐で斗輝くんを括り付けている三津屋さんの顔が、赤くなって、険しくなる。

そこで、ふっと目が合ってしまった・・・。
三津屋さんと。

 

一瞬、気まずい空気が流れた。

 

何が正解かわからないけど、こうなったらもう行くしかないっ!

胸のあたりで小さく手を振り、ベビーカーを押しながら近づく。

「三津屋さん、お久しぶり。大丈夫?」

え?!まさかの3個?

「峰岸さん!・・・もう、桃亜がこんなで。どうしたらいいか。」

私は姿勢を低くして、桃亜ちゃんにも声をかけてみる。

「桃亜ちゃん、どうしたの~?教えて?」

声のボリュームは下がったものの、床に転がり泣いていて、返答はない。

 

三津屋さんの話によると、桃亜ちゃんが欲しいお菓子があって「1個だけね」と言ったのがダメだったらしい。

周りの視線も気になるし、私にも会ってしまったしで、三津屋さんは根負けした。

「じゃあ桃亜、欲しかったのはこれとこれ?2個買うから、ね?」

 

すると桃亜ちゃんは、えぐえぐ泣きながら、ちょっと体を起こした。
その体勢でもう一つお菓子を取り、三津屋さんにむけて差し出す。

 

・・・え?!3個ほしいの?

 

「桃亜、3個は買えないよ。」そう三津屋さんが言ったら。

「・・・・うぁぁぁぁぁーーーん、やーだぁぁぁぁーー」

また床に転がってしまった。

少しはお役に立てたのだろうか

抱っこひもの斗輝くんも、もぞもぞ不機嫌になってきた。
このままでは斗輝くんまで泣き出しそうだ。
そうなったら収拾がつかなくなりそう・・・!

「三津屋さん、もうお買い物終わってるならレジにいく?私が桃亜ちゃんみてるよ。」

おっせっかいかなと思いつつ、そう切り出してみた。

 

「え、いいの?・・・助かる!」

そうと決まれば。

 

私は床でバタバタしている桃亜ちゃんを抱き上げる。
おお~元気元気!生きが良いぞ~!

ひらりが乗っていたベビーカーは、三津屋さんが押してくれた。

レジ奥のベンチへ移動する。

三津屋さんは急いでレジへ向かった。

 

私は、ベビーカーにいるひらりに見つめられながら、桃亜ちゃんを抱いたままベンチに座った。

桃亜ちゃんはずっと泣いている。

ぎゅっと抱きしめて、前後に揺れながら、大丈夫、大丈夫だよと声をかける。

 

少しして手足バタバタは治まった。
でも時折、離せと言わんばかりに私を手で押しのけようとする。

「桃亜ちゃん、ママもう少しだよ。ちょっと待とうね。」

そう声をかけながら抱きしめ続ける。
頭をなでたり、背中をなでたりしながら。

 

しばらく泣いていたものの。

何かを悟ったのか、驚くほどぴたっと泣き止んだ。

 

あれ?と思って桃亜ちゃんの顔を覗き込んでみると・・・。

 

目の周りが濡れてない!?

泣いてないじゃん(笑)

 

そうか、と思った。

桃亜ちゃんは泣いていたというより、抗議していたのだろう、大声で。
そんな気がした。

 

私の膝の上で、落ち着いた桃亜ちゃんを逆向きに座らせる。

ひらりがみえるかな?
桃亜ちゃんママの姿もみえるかな?

レジは混んでいて少し時間がかかった。

桃亜ちゃんとひらりと私は、にこにこしながら三津屋さんを待った。

「ありがとう」って言っていた

落ち着いた様子の桃亜ちゃんに、レジから戻ってきた三津屋さんはびっくりしていた。

「峰岸さん、ひらりちゃんも、本当にありがとう!」

三津屋さんは買い物袋を提げてそう言った。

にこにこしながら、ママにかけよる桃亜ちゃん。

 

三津屋さんは車で来ていたようで、家まで送ると言ってくれた。

そこでやっと、私はまだ買い物の途中だったことを思い出す。

 

(・・・あれ、買い物カゴどこに置いたっけ?)

 

三津屋さん親子を出口で見送り、私とひらりは再びお菓子フェアを目指した。

「ひらりの欲しかったお菓子、GETしようね!」

後にこのエピソードがとんでもない話になるのだが、この時はそんな予感すらしていなかった。