ママ友いじめから知った人生で大切なこと
私の体験が少しの希望になることを願って
3歳まで

8.ママ友に言う?押されて蹴られて噛まれて、わが子が危険な時

 

スーパーでの出来事があった後も、お互い特に気にするわけでもなく、私たちご近所ママ友の仲は健在だった。

7.お隣さんの気まずいシーンに遭遇。見てはいけなかった? お隣の三津屋さんの里帰りが近づいた。 無事に産まれることを祈って、みんなでランチパーティをすることになった。 私は、三津...

 

寒くなったし、斗輝くんも小さいので会う回数は減っていたが、支援センターで待ち合わせて遊んだり、たまのランチ会もあった。

お菓子を手作りした時は、それを3つに分けて、三津屋家・堀内家に配ったりもしたし、また逆に頂くこともあった。

素直に受け止めない

あれは年があけてしばらくした頃だったか。

三津屋さんが、パパさんのご実家に誘われて温泉に行くことになった。

なんと費用もご実家負担!

三津屋さんがお疲れだろうという事で、お姑さんが企画したそうだ。

 

お宿では、まだ赤ちゃんの斗輝くんをお姑さんがみてくれる予定で、三津屋さんはゆっくり休んで楽しんで、とのこと。

(お姑さん、粋なことするなぁ。)

 

詳しく話を聞くと、行き先なかなか高級な温泉地だった。
疲れた心と体をほぐすのに、冬の温泉は最高だよね。

「お土産買ってくるね!」と言い、三津屋家は旅立っていった。

 

これまでお姑さんに思うところが色々あったようだけど、こうやって仲良くなっていけたらいいね。

そう思って見送った。

お姑さんの心遣いだけど

三津屋さんが温泉から戻ってきてしばらく、お互いにタイミングが合わずに会えなかった。

まだ寒いけど天気だけは良かった日。

やっと時間ができた。
三津屋さんからお土産を頂いた。
ちょうど堀内さんも出てきて、子どもを庭先で遊ばせながら旅行の話を聞くことになった。

 

すると話の冒頭から、こんな感じ。

「温泉さぁ、行ったのはいいんだけど・・・。はぁー。」

こう切り出されたら、何かあった?何かされた?って思っちゃう。

 

温泉に行って、お姑さんは予定どおり斗輝くんのお世話をしてくれた。
お舅さんも、桃亜ちゃんといっぱい遊んでくれた。
三津屋さんも子どもから解放されて、ゆっくり温泉に入って、美味しいものを食べた。

 

わぁ、いいなぁ。よかったねぇ。という内容に感じた。

でも、そうじゃないらしい。

感謝の気持ちはどこへ?

斗輝くんのおむつを替えるとき、おしりが少しかぶれてて、こういう時どうしてるの、とお姑さんが聞いてきた。

お姑さんは、こういう時はあれがいいよ、これがいいよと言ってきた。
押し付けがましかった。

 

食事の時も、桃亜ちゃんが欲しがるジュースやアイスを食べさせた。
お姑さんはいつも「甘やかしすぎはダメ」というのに、自分は甘やかしてるじゃないか。

私にいやな役をさせているんじゃないか。

 

他にもあったけど、だいたいこんな感じ。

 

堀内さんは、「感じわる~」とか「結局そういう人なんだね」とか、三津屋さんに寄り添うけど・・・。

私はそうは思わなかった。
というか、思えなかった。

もちろん話は「うんうん」と合わせて、自分の感じた違和感は口にしなかったけど。

 

話を聞き終わって一番気になったことがあった。

それは三津屋さんの口から、お姑さんに対する感謝の言葉がでなかったことだ。

 

お姑さんの行動は、好意からだと思う。
旅行の提案もそう、旅行中もそう。

だけど三津屋さんは、それを正面から受け止める気がない。
そんなふうにみえた。

子どもの乱暴に困ってた

そうこうしているうちに暖かい季節になってきた。
私たちはまた、外でよく会うようになった。

桃亜ちゃんも2歳半を過ぎ、おしゃべりも上手になっていた。

うちのひらりは、冬に2歳になったばかり。

お互い女の子なので、お花をみたりお菓子をやりとりしたりして、可愛く過ごしていた。

・・・はずだった。

つねられた痕跡

桃亜ちゃんと外で遊んだ日の夜。
ひらりとお風呂に入るときに気が付いた。

ひらりの二の腕に見たことのないアザがあった。

 

「ひらり、これどうしたの?」

「んとね・・・もあちゃん。ぎゅーぎゅーした。痛かった。」

えええ!?
そんなことが??

 

でも、こんなアザになってたら痛いよな・・・。
なんでひらり泣かなかったんだろう?

「ひらり、痛くて泣かなかったの?」

「痛かったんだけどね、転んだの。」

確かに、今日は芝生で転んで泣いていた。
ひらりが泣くなんて珍しいと思っていた。

あれは転んで泣いたんじゃなくて、腕が痛くて泣いていたのか・・・!

 

詳しく聞いてみると、二の腕をつねったまま腕を押したり引いたりされて、それで倒れたらしい。

 

まだ2歳の子どもが言う事だし、鵜呑みにはできない。

相手だってまだ2歳。

お互いに間違えたり迷惑をかけてしまう事だってある。

子ども同士のことに、親があまり介入するのも良くない。

 

だけど。

しばらく気を付けて様子を見ようと思った。

ママの見てないところで

私も自分の行動を振り返る。
ご近所ママとの話に盛り上がってしまって、目を離していた。
ずっと見ていたわけではない。

それからは外で会う時も、支援センターの時も、話をしながらちらちらと目を離さないように気を付けて様子をみた。

すると・・・。

 

やっぱりやっていた。

はじめにみたのは、桃亜ちゃんがひらりを後ろから両手で突き飛ばすところ。

次はひらりの脚を横から蹴った。
ひらりはよろけて手をついた。

お腹にパンチされているのも見た。

子ども同士のことだし、ひらりも大泣きするほどではない。

 

だけど何かあってからでは遅いので、できるだけひらりのそばに寄り添うようにした。
でもずっとくっついている訳にもいかない。

 

ひらりと桃亜ちゃんが2人になる。
そうすると発生するのだ、暴力が。

毎回ではない、たまに。

 

桃亜ちゃんは4ヶ月早く産まれているので、体もしっかりしていて力もある。
この時期の4か月の差は大きいものだ。

だからひらりは抵抗できない。

 

困ったことに桃亜ちゃんのこの暴力的な行動は、徐々に頻度を増した。

更に、桃亜ちゃんママがみてない隙にやる、という徹底ぶりだった。

 

桃亜ちゃんは、支援センターで他の子どもにもやっていた。
わが子を近づけないようにする母さえいた。

だけど、三津屋さんはそれを知らない。
斗輝くんのお世話で目を離しているし、ママ友とお話ししているから。

今なにしたかわかる?

そんな最中、我が家でランチ会をした。
楽しくお昼を食べたあと、子どもたちが飽きてきたので外へ出ることになった。

ひらりと桃亜ちゃんは「一緒に外へ行こう」と手をつないで、一足先に玄関へ向かった。
私も付いて一緒に行った。

 

靴を履かせてあげた方がいいかなと思い、私が靴を履き先に玄関へ降りる。
しゃがんで子ども達に靴を履かせようとした。

「ひらり、自分でやる~!」

「桃亜も~!」

「お、えらいね!」そう言って見守ることにした。

 

すると。

靴を履くために座ろうとかがみ始めた、その瞬間のひらりを、桃亜ちゃんが後ろから突き飛ばしたのだ!

タイルでできた固い固い玄関ホールに向けて、ひらりが頭から勢いよく倒れこんできた。

 

(危ないっ!!!!)

 

咄嗟にひらりの下に腕を滑らせ、体を受け止めた。

ひらりは何が起きたのか分からなかったのか、きょとんとしている。
無事だった。

 

もし私がここにいなければ、ひらりはどうなっていたか。
確実に頭を打ってケガをしていたはずだ。
救急車だったかもしれない。

 

そう思うとひらりを抱く手が恐怖で震えた。

 

はっと桃亜ちゃんを玄関ホールから見あげる。
斜め上をみて知らんぷりしていた。

 

思わず言葉がでた。

「桃亜ちゃん、今なにしたかわかる?」

「・・・・・。」

「桃亜ちゃん、今の危ないことだよ。」

「・・・・・。」

桃亜ちゃんはずっとよそ見をして、しらっとしている。

返事をしない所をみると、悪いことなのは分かっているようだ。

言うか言わないか

もう一度声をかける。

「桃亜ちゃん、今なにしたか分かる?」

「・・・・・。」

 

すると斗輝くんを抱いた三津屋さんが、リビングの戸を通って玄関へやってきた。

私と桃亜ちゃんの緊迫した雰囲気を感じたのか、「あれ、何かあった?」と聞かれた。

 

この時、すごく迷った。

 

桃亜ちゃんが半狂乱で泣くのは今でも続いている。
2歳になって頻度は減ったものの、いまだあれは続いている。

斗輝くんが産まれて、三津屋さんも桃亜ちゃんも色々あるんだと思う。

 

この前のスーパーの件もあるし、今ここで桃亜ちゃんのした事を三津屋さんに言ったらどうなるだろう。

言うべきか言わざるべきか。

 

本当に迷った。

 

・・・結局、言わなかった。

桃亜ちゃんと桃亜ちゃんママの関係が心配になったから。

「・・・ううん、何でもない。」

私はそう答えた。

ママ友に言わざるを得ない時

こういう時、どうするのが正解なのか本当に分からない。

何度も言うべきか言わざるべきか考える。

すると思い出した。

 

「私たち親友だから、何でも言い合える関係だよね。」これは堀内さん。

「うちの子が何かしちゃってたら教えてね。」これは三津屋さん。

 

どのタイミングで出た言葉かは思い出せない。

でも、そんなことを言っていたっけ。

 

確かに、自分に置き換えて考えてみたら、ちゃんと言ってもらいたいかも。

桃亜ちゃんを避けてる、支援センターのママだっているわけだし。
お互い何かあってからでは遅いわけだし。

次、機会があったら言った方が良いかな。そう思っていた。

硬くて冷たい無表情

その機会は予想より早く訪れた。

私たちは三津屋家の庭先にいた。

子供向けのかわいらしいベンチがあって、そこにひらりと桃亜ちゃんは仲良く座っていた。

 

私がほんの少し目を離した時。

「うぁぁぁーーーー!!」

ひらりが火のついたように泣いた。
手首の上あたりを抑えている。

 

すぐさま駆け寄って、腕をみる。

・・・歯形だ。

くっきりと、赤い歯形だ。

 

これは相当痛かったはず。

桃亜ちゃんはこちらをみてニタっと笑った。

今度は悪いことをしたとも思っていないようだった。

 

前回したことを、桃亜ちゃんママに言わなかったからなのか。
それとも噛んだのが楽しかったのか。

 

三津屋さんが「だいじょぶ?」と寄ってきた。

これはもう言うしかない。

「三津屋さん、ひらり、桃亜ちゃんに噛まれてた。」

赤い歯形をみせる。

 

「・・・え。ごめん、ね?」

三津屋さんは驚いている。

 

「伝えるべきか迷ってたんだけど、桃亜ちゃん最近こういう事多いみたいで・・・。」

 

それまで柔らかかった三津屋さんの顔が、一瞬にして無表情になった。

硬くて冷たい無表情。

一瞬のその表情に、私は嫌な予感がした。