子どもが外出したがるようになり、それから三津屋さんとはよく会うようになった。
家の前で、近所のスーパーで、散歩先ですれ違うこともあった。
季節はだんだんと寒くなってゆき、服が1枚2枚と増えて、わが子はモコモコ着ぶくれしていた。
お隣の桃亜ちゃんもだんだんと着ぶくれしてゆき、最後には頭にクマ耳帽子が乗った。
それがとっても可愛くて、似合っていた。
あんまり寒いので、お散歩もしにくくなったなと思っていた矢先、三津屋さんから声をかけられた。
「峰岸さん、今度一緒に子育て支援センターに行かない?」
親子が集う噂の場所
子育て支援センターとな?!聞いたことあるぞ・・・
それって確か、同じ年頃の子どもたちが集まる感じのアレかな?
寒くなって外にいるのも厳しいから、支援センターで遊ばせてみなませんか、との事だった。
「それは楽しそうですね!」
「おもちゃもたくさんあるし、ひらりちゃんきっと喜ぶと思うよ。」
まだ支援センターには行ったことがないから、ちょっと緊張するけど・・・
確かに、ひらりが喜びそうだから行ってみようかな。
三津屋さんと支援センターに行く予定をたて、じゃあまたねとお別れした。
支援センターか・・・楽しみだなぁ。
あれ、これってなんちゃらデビューとかだったりして??
子育て支援センターへ行く
三津屋さんと家から一緒に向かっても良かったんだけど、子連れだと時間が読めない時もあるし、お互い待たせたりしてご迷惑をお掛けするかも、となったので現地集合になった。
寒くても天気は悪くなかったので、ひらりには温かい服を着せて毛布をかぶせて、ベビーカーで出発!
荷物が多くてもベビーカーがあればまだ楽だよね。
道順も覚えたし、ベビーカーで行けるか下調べもしたから大丈夫。
思ったよりも近かった。
徒歩10分くらい?
いつもは公園の方へ曲がるので気が付かなかった。
こんなところに支援センターがあったのね!
初めての支援センター
入り口から入って、受付表に記入したらセンターのなかへ。
ちょっとドキドキ。
私が到着すると、すでに三津屋さんは桃亜ちゃんを遊ばせていた。
「三津屋さん、今日はありがとうございます。誘ってもらって良かったです!」
「おはよう~!ここならあったかいし安心して遊ばせられるよね。」
目の前には色とりどりのたくさんのおもちゃ。
フロアへおろすと、ひらりは目を輝かせておもちゃへ突進していった。
お互いに子どもから目が離せないものの、保育士さんもいてくれるのでちょっと安心して過ごせる。
ひらりは私の所へ戻ってきたり、おもちゃを運んできたり、近くを散策していた。
このくらいの子どもたちは、誰かと遊ぶというより自分の好きなことをしている感じ。
ママ友の輪ひろがる
すると、三津屋さんの所へはじめてみるママさんがやってきた。
同じ町内だからと、私に紹介してくれた。
「増山さん」とおっしゃるそうで、女の子のママさん。
「はじめまして、峰岸です。宜しくお願いします。」
(ドキドキ、緊張しちゃう~)
同じ年に産まれたので、学年も一緒との事だった。
娘さんは「ふうか(風華)ちゃん」というそうだ。
桃亜ちゃんよりも、風華ちゃんの方がひらりと月齢が近かった。
うちの子よりもしっかり髪の毛が生えていて、髪を結っているっ!
増山家は4人家族で、風華ちゃんにはお兄さんがいるそう。
扱いが雑だけど、風華ちゃんの事を可愛がってくれると、増山さんは言っていた。
優しそうなママさんで、ホッとした・・・!
他にもたまに支援センター来るママさんで、同じ町内同じ学年の男の子もいるそうだ。
ひらりが遊んでいる傍らで、近くにいた数人のママさん方にもご挨拶をした。
ひらりが飽きてきたので、この日は1時間くらいで帰ってきた。
三津屋さんはもう少しいて、近くで買い物をしてから帰るそうだ。
「また遊びましょうね!」
「はい、楽しみにしてます!」
なるほど、こうやってママ友の輪が広がるのね、ふむふむ・・・と思う支援センターデビューの日だった。
外にでる時間帯が変わったら
それからしばらく。
まだ肌寒いものの、柔らかい日差しが春の訪れを感じさせるようになった頃。
ひらりが歩くようになった!
目が離せないのは今まで通りだけど、体力が付いてきたのか夕方にお昼寝をしなくなった。
退屈させないように&夜よく寝てくれるようにと、午後の外出も増えた。
それはお隣の三津屋さんも同じだったようで、午後に顔をあわせることも多くなった。
ご近所ママさん
家の前で子ども達を遊ばせていると、三津屋さんの斜め向かいの家から女性がでてきた。
・・・ええと、ご近所の「堀内さん」だったかな?
三津屋さんとは以前から知り合いだったらしく、仲が良さそうだった。
「どうもはじめまして・・・じゃなくて二度めましてかなっ、堀内です。」
挨拶の様子からして、堀内さんはお茶目で気さくな方のようだ。
家を建てる時にご挨拶に行ってるので、確かにはじめましてじゃなかった!
堀内さんは、家の窓から私たちを見かけて、子ども達にとお菓子を持ってきてくれていた。
白くてふわふわの赤ちゃん用おせんべい。
もしかして同じ年頃のお子さんがいらっしゃるのかも?と思い聞いてみると、そうではなかった。
このお菓子は、親戚の子に渡そうと大量に買ってしまったもので、私たちにも分けてくれたのだそうだ。
ママ友新メンバー?!
堀内さんはパートに行っているので、昼間はあまり家にいらっしゃらないのだそう。
息子さんが保育園に行っていると教えてくれた。
なるほど、それで今までお会いする機会がなかったのか。
午前中に外にいることの方が多かったからね。
3組とも時間帯がちょうど良かったのかもしれない。
堀内さんが保育園にお迎えに行くまでの間、具体的にはおやつの後から夕飯準備の前まで、三津屋さん、堀内さん、私、子ども2人が自然と集まるようになっていった。
年齢はほとんど変わらないものの、ママとして先輩なので、子育てでわからないことは堀内さんが色々と相談にのってくれた。
離乳食にも詳しかったし、子どもがかかりやすい病気なんかも教えてもらった。
情報って大事だな~!
ママ達は盛り上がる
ただ時折、話題が脱線して、旦那さんやお姑さん、職場の変わった人の話になったりする。
例えば・・・。
旦那さんにメモを渡して買い物を頼んだけど、なかなか帰ってこない。
料理の途中だったから急いで買ってきて欲しかったんだけど、1時間は余裕で帰ってこない。
頼んだ物は5品くらいで少ないはずだし、近くのスーパーに行ったはず。
やっと帰ってきたので理由を聞いたら、メモをなくしてしまい探し回っていたんだそう。
「・・・・家に電話すればいいんじゃん!!」
話を聞いていたママ達はつっこむ!
おいおい~とか、なにそれ~とか言いながら笑い転げる。
片付けの苦手なパパさんが部屋を散らかしたままにするので、子どもの教育上良くないからと、片付けをお願いした。
なかなかやってくれなくて困っていたら、飼ってる犬がパパさんの大事にしていた本におしっこをかけた。
パパさんは早く片付ければよかったと泣いた。
「わんちゃんグッジョブ!!」
そんなコメントが飛び交って、また笑う。
お姑さんが持ってきてくれた子どものお古。
中身をみてびっくり。
バックプリントのTシャツで背中に「駄」の一文字。
「目が点だった・・・」
センスが分からなすぎて大爆笑。
はじめはこんなふうに、ちょっと面白い話っていう雰囲気で話をしていた。
透けて見えるもの
でも話してるうちに、ゆっくりと様子が変わっていく。
世話が焼ける旦那で大変とか、頼りなくてつらいとか、お姑さんが子育てに口を挟んできて困るとか、職場に仕事しない人がいるとか。
言葉は濁しているけど、みんな色々抱えてるのが透けてみえた。
もちろん私にも抱えているものがあった。
そんな頃だったか。
お隣の三津屋さんが第2子を妊娠したと言ったのは。