ママ友いじめから知った人生で大切なこと
私の体験が少しの希望になることを願って
小学1年

43.欲望のまま行動する人。責任をすり替えて擦り付けられた

 

無事に入学式を終え、小学校生活がスタートした。

幼稚園のお仲間3人組(風華ちゃん・美鈴ちゃん・ひらり)は、近くの公園で待ち合わせをしている。

 

この近くの公園は通称「四季公園」と呼ばれていて、公園というよりは遊歩道がメインの小さな広場だった。

なぜ「四季公園」かと言うと、四季折々の花や木が植えられていて、どの季節でも花が楽しめるようになっているから。

 

風華ちゃんちからも、美鈴ちゃんちからも、もちろん我が家からも同じくらいの距離にあるので、待ち合わせにちょうど良かった。

 

四季公園に、ランドセルを担いだ黄色い帽子の子ども達が集まった。

3人が時間通り来たところで、学校へ向けて出発する。

 

私はお仕事があるけど、時間の融通がきくので。

子ども達が通学に慣れるまでの間、付き添いをすることになっていた。

 

学校までは少し距離があるけど、良い運動だと思って頑張ろう!

 

子ども達とは少し間をあけて、後ろについて歩く。

朝のこの時間帯ははじめて歩くので、交通量や危ない所がないか再度チェックしながら、一緒に通学路を歩いて行った。

 

通学路で立ち往生

幼稚園3人組は、さすが幼稚園で色々習ってきただけあって。

互いに声をかけあって横断歩道を渡ったり、信号待ちの時は歩道の奥で待つようにしたりと、先生の教えを覚えて実行していた。

 

特に微笑ましかったのは「慌てて走らない」を真面目に守っていたこと。

 

信号のところでも、曲がり角のところでも、学校が見えてきたところても。

慌てちゃだめだよ、走ると危ないんだよ、と言って歩いていた。

 

時間に余裕をもって出てきてるから、遅刻はしないけど。

周りに走っている子がいると、つられて走りたくなるようだ。

特に学校が見えてくると、あと少しだから走りたくなるみたい。

 

そんな時でも3人は手をつないで、声をかけあって通学というミッションに取り組んでいた。

玄関先の光景

通学のつきそいで、朝家をでると。

同じ学校、同じ学年だから、やっぱりそうなるよね。

 

お隣さんに遭遇する。

 

桃亜ちゃんは、時任さん家のお姉さん「一深ちゃん」と一年生の「三美香ちゃん」の、3人で通学するようだ。

三津屋家の玄関に一深ちゃんと三美香ちゃんがお迎えにきていた。

 

ところが。

 

玄関の奥から声がする。

「・・・いやぁだ、いやぁだ。うぇっ、うぇっく。」

桃亜ちゃんが泣きながら何かを嫌がっている。

 

「桃亜、お迎えに来てくれてるんだから行きなさい。」

「いやぁーだ。ママ一緒、ママ一緒じゃなきゃいやぁーだ。」

 

ほぉーお、桃亜ちゃんは学校に行きたくないみたい?

お隣で同じ時間に玄関にいるから、聞きたくなくても聞こえてしまう。

 

「もうっ、も~あ~。学校にいきなさいってば~。」

 

(あれ?)

桃亜ちゃんに学校へ行くように言う、その三津屋さんの声色に違和感を覚えた。

 

困った感じではなくて、ワントーンあがった嬉しそうな、はにかむような声。

強いて表現するなら。

(うふ♪)←こんな感じ。

 

桃亜ちゃんの手を引いて玄関から出てきた三津屋さんは、その声色を裏付けるような会心の笑顔だった。

 

その時、私の脳裏にアレがよぎった。

15.いじめっ子に関わらない生き方。新しい環境を選んで進む ・・・そういえば。 こんなエピソードを思い出す。 あれはまだ、ご近所ママ友さん達と仲が良かった頃。 三津屋さん...

 

三津屋さんが話していた、クリスマスでおもちゃ屋さんにいった時のエピソード。

ママ、ママと、泣いて求められるのが大好きな三津屋さんが思い出される。

 

・・・もしかして、まだそんなことやってるの??

 

ママ、ママ、と言って玄関先から動こうとしない桃亜ちゃん。

桃亜ったら~♪と言って機嫌をよくする三津屋さん。

それをなんとも言えない顔で見続ける、時任姉妹。

 

それを視界に入れないようにして待ち合わせ場所に向かう、私達。

これが。

ここ最近の、朝の光景となっていた。

それ、学校に間に合う?

幼稚園仲間3人組を小学校まで見送ったら、私は家に向かって引き返してくる。

はじめはたくさんの児童とすれ違っていたが、だんだんと人影が減り、子ども達の姿もなくなる。

みんなちゃんと時間を守って通学しているんだね。

 

たまに1人で走っていく男の子を見かけたけど、慣れた様子だったので学校には間に合うのだろう。

 

うちの隣の住宅街に差し掛かったあたりで。

ランドセルを背負った人影があった。

 

あれ?

こんな時間、こんなところに子ども??

 

近づいてみるとそれは。

桃亜ちゃんと、一深ちゃんと、三美香ちゃんだった。

 

この時間にこんなところにいると、さすがに遅刻しちゃうんじゃないかな?

大丈夫なんだろうか、何かあったかな?

 

そう思って声をかけた。

「あれ、何かあった?大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です。」

 

お姉さんの一深ちゃんが答えた。

 

一深ちゃんと三美香ちゃんは顔をこちらに向けてくれて、反応があったけど。

桃亜ちゃんは下を向いてお地蔵さんのように、固まっていた。

 

どうやら。

桃亜ちゃんが立ち往生して、一歩も動かなくなっているようだ。

 

私はこれまで桃亜ちゃんにも無視されてきたので。

三津屋家にあんまり深く関わると、それはそれでよくないと思った。

 

なので。

「そう、じゃあ気を付けてね。」

と言ってその場を離れた。

 

玄関先での様子と、通学路の様子。

一深ちゃんも困ってるし、三美香ちゃんも困ってるし。

桃亜ちゃんだって困ってる。

 

なんだかとっても。

子ども達が気の毒に思えた・・・。

 

井戸端会議に遭遇

授業が終わると。

小学校から大人の付き添いがあって、一年生は集団で下校してくる。

まずは学童保育組と自宅組に分かれる。

そのあとそれぞれを方向が同じ同士で分ける。

 

そこに先生とボランティアさんが付き添って下校してくるのだ。

 

同じ方向、近い地域とは言っても、みんな家はバラバラ。

なので先生の付き添いは、バラバラになる手前までとなる。

 

この地域の集団下校解散場所は、「ぞうさん公園」だった。

ぞうさんの遊具が目印の、色々な遊具がある公園。

 

幼稚園3人組のうち、風華ちゃんは学童なので。

私はひらりと美鈴ちゃんを「ぞうさん公園」までお迎えに行った。

 

細貝さんは下の子が幼稚園で、バスお迎えと時間がかぶってしまうため動けないそうだ。

なので私が美鈴ちゃんを家まで送っていくことになっていた。

ご近所ママは公園に

学校からの下校時刻を参考に、公園へ行く。

すると、同じ地域のママさんが集まっていた。

 

どのママさんもおそらく同じ理由。

一年生の子どもを迎えにきているのだろう。

 

すでに知り合いらしきママ達は、輪になって立ち話をしながら待っていた。

おそらく保育園が同じとか、家がご近所とか、前々から付き合いがある、そんな感じだった。

 

私は幼稚園つながりと、たまに行っていた支援センターの知り合いしかいないので。

ママさん達に、にこやかにご挨拶した後は。

様子をみながら邪魔にならないようにしつつ、輪のなかにいた。

 

やっぱりこの公園で1人で立っているのは、かえって感じが悪い。

話に相槌を打ちながら、誰が誰のママさんなのか覚えながら一緒に過ごしていた。

 

数日経ったある日。

公園のママさん集団に、時任さんがいた。

 

時任家のママさんはフルでお仕事をしているので、基本子ども達は学童のはず。

ママさんがお迎えにきているなんて、珍しい。

 

時任さんはご近所で、以前からの知り合いなのでご挨拶しておく。

少しお話してみたら、今日は仕事がお休みだったので学童もお休みして、お迎えにしたそうだ。

親としての責任

なるほど、そういうフレキシブルな対応もありなのね。

そう思っていると。

 

時任さんは、ここ最近の困っていることを他のママさんに打ち明けはじめた。

「実はうちの子たち、最近毎日遅刻しちゃってさ。」

「え?なんで??」

 

他のママ達は不思議そうにしているけど、私は即座に分かってしまった。

 

やっぱり。

やっぱり朝、間に合わないんだね。

あの時間にあそこにいて、一歩も動かないんじゃそうなるか・・・。

 

時任ママさんが言うには。

 

三津屋さんに頼まれて一緒に通学することにしたものの。

朝、桃亜ちゃんをを迎えに行っても玄関先で待つし、更に通学路で動かなくなる。

 

桃亜ちゃんを放置して自分達だけ学校に行くわけにいかないから、動く気になるまで励ましたり優しくしたりして声をかける。

それでも動かないと、やっぱり遅刻しちゃうから。

三美香ちゃんが一深ちゃんのランドセルを持って、一深ちゃんが桃亜ちゃんをおんぶすることもある。

そこまでしても遅刻しちゃってるそうだ。

 

あちゃ~、そんなことになってたとは。

さすがに子どもにそこまでの責務を負わせるのはやり過ぎじゃないかな。

私は現場を目撃しているだけに、強くそう感じた。

 

そこでははっきり言わなかったけど、時任さんは三津屋さんにかなりイラついていたようだ。

親としてどう思ってるんだろうとか、うちの子たちが責任を感じるような事じゃないよねとか、言っていた。

 

自分の子どもが学校に通えるようにサポートする。

自分の子どもが周囲に迷惑をかけないよう教える。

 

それってやっぱり、どこかの他人がやることじゃなくて。

親の責任。

親の責任の範疇なんじゃないかな。

 

まさかの責任転嫁

桃亜ちゃんが毎朝泣いている。

通学路で立ち往生してしまう。

なんでそうなってしまうんだろう?

 

私達、幼稚園3人組は通学の練習をした。

安心して通えるように、通学路に慣れるように。

幼稚園でバス通だったから、絶対に練習が必要だと思ったのだ。

 

3人で練習したのが3回、親子で行ったのが2回。

入学前に5回は練習している。

 

それに学校からも、通学の練習をしておいてくださいと通達があった。

 

そういえば。

三津屋家は通学練習してたのかな?

 

家が隣だからといって全部知ってるわけじゃない。

だけど。

桃亜ちゃんがランドセルを背負って練習している姿を、私は見ていない。

 

時任家が練習しているのは一度みかけた。

 

公園にいるママさんのなかにも、練習中すれ違った人がいる。

だからやっぱり、みんな練習してたんだよね。

 

桃亜ちゃんが学校に行きたがらないこと。

通学路の途中で立ち往生しちゃうこと。

 

もしかして。

ぶっつけ本番の通学だった??

それで桃亜ちゃん不安がってるのかな??

責められたらしい

時任さんは、今後桃亜ちゃんをどうした良いか相談したかったようだ。

これ以上子ども達を遅刻させるわけにはいかないから。

 

時任さんが三津屋さんに現状を伝えても、「え、ごめんね?うちの子甘えんぼなの(えへ)」って感じらしい。

桃亜によくいって聞かせるから、とは言うんだけど改善しないんだって。

 

もう一緒にいくの断れば?っていうママさんもいた。

 

すると。

そうすると角が立つ、桃亜ちゃんが一緒に行く人がいなくなる、それで断るのは気まずいとのこと。

確かに、これから6年生まで一緒なのに初っ端から揉めるわけにはいかない。

 

皆でうんうん唸ったまま、なかなか妙案がでなかった。

 

それなら間をとって、何時まで、もしくはどこどこまで、って区切って遅刻しない範囲で一緒にいくのはどうですか?

それで桃亜ちゃんも一緒に行けるようになったら、普通に通学する。

それだとどうですか?

 

私はそう提案してみた。

時任さんも他のママさんも、そうだねそれが良い、それしかない!となった。

 

その後時任さんは数人のママと一緒に、三津屋さんと話をしたらしい。

三津屋さんちに押し掛けたとかではなく、井戸端会議の延長でそれとなく切り出したみたい。

 

やっぱり時任さんにしてみたら、三津屋さんが「親の責任を果たしてない」そう見えたんだと思う。

 

時任さんはフルで働いてるうえに、お子さんが4人。

人脈もあれば、行動に裏打ちされた発言力もある。

 

意見されるのが大嫌いな三津屋さんが。

今一番仲良くしたい時任さんに責められる、という事態がおきていた。

涙の主張で同情をひく

時任さんに、「これ以上遅刻させるわけにいかないから、遅刻しない範囲で一緒に行くことにしよう。」そう提案されて。

三津屋さんは窮地に立たされた。

 

それで。

話の途中で私の名前が出たみたいで。

 

例えば。

「でも、桃亜が立ったまま動かないって本当なんですか?」

と三津屋さんが言えば。

「峰岸さんが○○時に住宅街の角で立ち往生してるところを見たって言ってたよ。」

とか。

 

今後について、公園でママ達と相談したんだけど「峰岸さんがこんな案を提案してくれた」とか。

 

そんな感じで私の名前がちょこっと出た。

もちろん他のママさんの名前だって出てたんだけどね。

だってみんなそれぞれに見てたし、みんなそれぞれにに知ってたから。

 

それなのに。

 

そこで三津屋さんがとった行動は、驚くべきものだった。

この話を後日、人づてに聞いた私は驚愕した。

 

三津屋さんはボロボロと涙をこぼして、こう訴えたらしい。

 

「途中まで一緒に学校に行ったとして、その後桃亜はどうしたらいいんですか?結局桃亜に一人で行けってことですか?」

「いや、そうは言ってないよね。そうならないように考えて欲しいし、そうなった場合は三津屋さんに対応して欲しい。」

 

「・・・違います!みんな騙されてるんです!うぅぅぅ(涙)」

「え、何が??」

「峰岸さんです!峰岸さんはいい人そうに見えて冷たい人なんです。途中から一人になる桃亜のこと、考えてくれてないですよね。同じ一年生の母なのに桃亜に冷たすぎる。こうやって桃亜が一人で学校にいくことになればいいって、これは峰岸さんの策略なんですよ。」

「・・・え?」

「峰岸さんはお隣だけど、ずっとうちを嫌ってるんです。それで冷たい事やひどい事を平気でして。桃亜も小さいころからずっと狙われてて、本当に困ってるんです!(涙涙)」

「狙われてる?」

「峰岸さんは。峰岸さんは自分の子には甘いけど、人の子にはすごく冷たいんです。隣に住んでるから嫌って程知ってます。みなさんも、みなさんも騙されないよう気を付けた方がいいです。(嗚咽)」

「・・・・。」

「峰岸さんに誘導されて、桃亜を1人にしようとしないでください。私もう、本当に心配で、悲しくて・・・(泣)」

「桃亜ちゃんママ、もう泣かないで。そんなことしないから。ね、私達友達でしょう?」

 

こうして。

三津屋さんは責任の所在をうやむやにして、みんなの目を私に向けさせた。

私をやり玉にあげ、疑惑の目をむけさせることで、三津屋さんは時任さんの追及の手から上手く逃れた。

 

結果。

時任さんの宣告した通り、桃亜ちゃんと一緒に行くのは遅刻しない範囲となって。

通学の途中からは三津屋家のパパorママが付きそうことになった。

まあ当然といえば、当然の結果。

 

私を上手く利用して、三津屋さんは時任さんと険悪になるのを免れた。

 

そして知らないうちに三津屋さんに利用されていた私は。

この後どんどんおかしな事態に巻き込まれていく。

この時はまだ、そんなことになるなんて思ってもいなかった。