ママ友いじめから知った人生で大切なこと
私の体験が少しの希望になることを願って
小学2.3年生

71.友達ができない。避けられる。じわじわと教室で孤立する

 

3年生になって、泉ちゃんという友人ができたのに。

すぐさま横槍が入って泉ちゃんは連れ去られてしまった。

 

智花ちゃんに連れて行かれるようになった泉ちゃんは。

次第にひらりに対して攻撃的になっていった。

 

泉ちゃんは、ひらりと一緒にいるよりも智花ちゃんのグループにいるほうが楽しいのかもしれない。

智花ちゃんのグループにいれば安心できるのかもしれない。

智花ちゃんのグループに呼ばれて嬉しかったのかもしれない。

 

智花ちゃんにも冷ややかな態度をとられ。

泉ちゃんにも避けられるようになったひらりは。

とても傷ついていた。

 

そんな矢先にバスで社会科見学があった。

 

その時の写真を学校で販売するという。

ちょうど個人懇談があったので、そのついでに写真を選んで注文しようと展示場所へ行った。

 

その写真をみて、私は事の深刻さを感じとった。

 

何人かの女子とひらりが写っているけど、どの写真もひらりが1人で離れたところにいる。

そして全く笑顔がない。

 

一番気になったのは、ひらりの顔色が蒼白を通り越して。

青く見えたこと。

 

ひらりはこんな顔をして学校にいるんだ。

楽しいはずの社会科見学なのに、ひらりは全然楽しそうにしていない。

それどころか、ひどく緊張しているようにみえる。

 

話には聞いていたけど、こんなに状況が悪かったんだ。

先生に相談しているというのに、こんな状態なんだ。

 

私はこの後に控えた個人懇談に対する意識を変えた。

 

ちゃんと私の口からも先生に言わなければ。

ひらりのために、ちゃんと強く言わなければ。

そう固く決意していた。

 

先生に言ってほしい

ある日、ひらりがこう言ってきた。

「ママ、先生に相談しても全然良くならない。ママからも先生に言ってほしい。」

 

これはジャイアンちゃんの件と、智花ちゃんの件についてだ。

 

ジャイアンちゃんについては。

側近がうまく口裏を合わせているせいで、まるでひらりが悪いから仕方がないみたいになって、先生の耳に届いている。

ひらりが声をあげればあげるほど、わがままで協調性のない子だと、先生には思われているようだった。

 

智花ちゃんの件については。

先生はちゃんと把握していないようだけど、ただの友人の取り合いだと思っている様子だった。

 

ひらりが私に、先生に言って欲しいというのは初めてなので。

ちょっとドキリとした。

だけど、ひらりを守れるのは親である私。

 

「わかった。それじゃあ個人懇談があるから、その時にお話ししてくるね。」

大きくうなずき、そう返事をした。

状況認識の違い

私は個人懇談で、今ひらりがとても困っていることをはっきり伝えた。

ひらりと仲良くしていた泉ちゃんを、智花ちゃんが連れて行ってしまったこと。

その件でひらりは傷ついていること。

 

誰か1人と特に仲良しでいたいと言っているわけではない。

ひらりはみんなと仲良くしたいけど、智花ちゃんにはその気がない。

 

尚且つ、泉ちゃんの様子がおかしくなって更に困っている、と伝えた。

 

ジャイアンちゃんの件に関しては。

口裏を合わせている子がいるので、正しく事実が把握できていると思わないで欲しいと伝えた。

 

行動を見張られて、いちいち口を出され、批判されるのがかなりのストレスになっている。

おかげで教室に居場所がなくなってきているし、ずっと緊張しているようだ。

 

話を聞いた先生をみると。

やはり、この状況を掴めていない様子だった。

 

先生はどの子に対しても平等であろうとしている。

だから、どの子の話も同じように聞いて判断している。

 

だけど。

それはどの子も、自分の見たもの聞いたものを素直に話している場合ね。

 

今回は意図して本当の事を言わないようにしているから。

だから事実なんて掴めるわけがない。

事実を掴ませないのが目的なんだから。

 

私からみえているもの。

先生から見えているもの。

その2つがあまりにかけ離れていたことを再認識させられた、個人懇談だった。

 

孤立し始めた

その個人懇談の後、先生もそれなりに理解して動いてくれたようだった。

智花ちゃんと泉ちゃんの態度が、少し柔らかくなったとひらりは言った。

 

ジャイアンちゃんに関しては、先生が目を光らせるようになったのと。

席を離してくれるようになったので、少しは楽になったようだった。

 

ひらりには余計な心配事のない学校生活を送って欲しい。

せめて安心して通える学校環境を。

そう願って行動している私に反して。

 

三津屋さんの狙いは真逆だった。

 

先生に注意されて子ども達の様子が軟化したのは。

先生の目が光っている、その一瞬の間だけだった。

陰でやるようになっただけ

智花ちゃんと泉ちゃんは、先生のいる前ではひらりと普通に接する。

だけど、先生のいないところではまた。

ひらりを無視したり、冷たくあしらったり、避けたりするようになった。

 

結局、先生に注意されたところで。

心の中までは変わらないのだ。

 

先生に注意されないように気を付けるだけで。

心の中は何もかわっていないのだ。

 

それはジャイアンちゃんも同じで。

先生の目が届かないところでは、相変わらずひらりの行動に逐一口をだしていた。

 

そして先生に相談したことが気に入らなかったのか、ひらりに対する印象操作が更にきつくなっていった。

ちょっとしたことでも、話を盛られて吹聴されている。

ひらりがいかにダメな子で、いかにつきあわない方が良い子かを、クラスのみならず学童にまで言いふらしているようだった。

 

そのイメージダウン戦略によって。

ひらりは少しづつ、ひらりをよく知らない子にも避けられるようになってしまった。

 

3年生の半ばになっても。

ひらりには友達らしい友達ができないままだった。

 

こんな風なら、別に友達なんていなくたっていい。

今の私ならそう思えるけど。

まだ小学3年生のひらりはどうだろうか。

 

お友達と遊びたい、仲良くしたいひらりにとって。

この状況はとても悲しいものだったと思う。

 

緊張してこわばった顔

最近、学校へ行くときのひらりの顔が気になる。

とても緊張して、こわばった顔をしている。

 

おそらく。

ジャイアンちゃんに色々言われないように気を張ったり。

智花ちゃん&泉ちゃんに冷たくされても傷つかないような心の準備。

 

自分のメンタルをなんとか正常なところで維持しようと、歯を食いしばって力んでいるようにみえた。

 

こんなに緊張しているのに。

ひらりは学校にいきたくない、とは言わない。

 

たぶん。

すごく頑張り屋さんなんだと思う。

ひらりがどんな思いを抱えながら学校にいってるかと思うと、だばだばと涙が溢れてこぼれそうだった。

 

だけどひらりが頑張ってるのに、私が泣くわけにいかない。

 

「ひらり、あのさ。別に学校休んだっていいんだよ。」

そう声をかけると。

全てを知ってるかのように、ひらりはにこりと微笑む。

 

ひらりは私よりもずっと大人だ。

悩んで迷って傷ついて、それでも前を向こうとするひらりに、私は尊敬の念すら覚えていた。

守るだけが親じゃない

ひらりが前向きに行くつもりでいるなら。

私がいつまでも心配したり悲しんだりしていてはいけない。

そう思った。

 

この子が立ち向かうというなら、私も一緒に立ち向かう。

 

傷つくことや悲しむことからひらりを守ろうとするよりも。

このいじめの最中において、私達親子は何を学ぶべきなのか。

どういう人間になってゆけばいいのか。

それを考えるべきだと思った。

 

なぜなら、それが一番の近道だから。

 

人生の思いがけない苦難は。

より良く生きるための、より幸せに生きるための学びなんだと思う。

65.いじめの終わりと脱出。この経験が自分の成長の糧になる 物心ついた時すでに父親はおらず。 貧困のなかで母子家庭生活を送っていた私。 https://mamaijime-8n...

 

それなら。

いつまでも悲しみに暮れていないで、一刻も早く学んでしまえばいい。

学びきってしまえばいい。

 

そうすれば自然と、この状況から卒業できるのではないか。

そんな気がした。

 

私はひらりの母として、ひらりを応援する。

彼女が折れずに進めるように、私もともに学んでいけるように。

そうしようと覚悟を決めた。