ママ友いじめから知った人生で大切なこと
私の体験が少しの希望になることを願って
小学4年生

78.クラスの女子から無視される。いじめを気にしないと言う娘

 

ひらりが先生に「ばい菌」いじめを教えたこと。

それが春子ちゃんの耳に入った。

 

ご近所女子が率いるグループが、春子ちゃんに教えたようだ。

 

ただ面白い事をやってただけの春子ちゃんにしてみたら。

先生に指導されたりクラスで会議が行われたりして、かなりイライラしたようだ。

自分の考えや自分のプライドが傷つけられたように感じたかもしれない。

 

そしてその春子ちゃんにとって好ましくない状況を作り出したのが、ひらりで。

 

春子ちゃんの怒りは。

春子ちゃんのイライラは。

春子ちゃんの満たされない思いは。

ひらりに向かっていった。

 

これまで教室内で大まかに2つだった女子グループが。

裏で密かに結託した。

 

もともとひらりに冷たかった、学童&ご近所女子のグループに加え。

そこまで排他的でなかった春子ちゃん寄りのメンバーも。

 

ひらりに攻撃的で、嫌悪感を表すようになっていった。

それは三津屋さんがずっと望んできた「孤立」への。

確実で着実な一歩だった。

 

女子達のいじめが始まる

やはり、まず最初にやってきたのは無視だった。

これまでは冷たくとも返事はしてくれていた女子達。

ほとんど会話にならなくても、反応は返してくれていた女子達が。

 

まるでそこにひらりなどいないかのように、無視をし始めた。

 

存在を抹消する。

無視はそういう行為だ。

存在しているのに、いないものとして扱われる。

 

話しかけても聞こえないふり。

話しかけても反応しない。

 

もともと自分の居場所などなかったひらりでも。

完全に無視されるのは今までにない体験だったと思う。

 

何よりひらりにしてみたら。

納得できないのがきつかったと思う。

 

ばい菌いじめをやめる事になって。

それはやられていた男子だけでなく、みんなにとって良い機会だったはずだ。

 

ばい菌いじめを先生に伝えたことは。

自分が良い子になりたかったわけでもないし、正義感を振りかざしたわけでもない。

 

同じクラスの子が傷ついて、困っていて。

そんなのみんなでやるべきじゃないから。

 

共に学びあう仲間なら、互いを思いやるべきだから。

 

だから解決しようと先生に言った。

ひらりは誰かに迷惑をかけようと思ったわけではない。

 

みんなにとって良いことをしたはずなのに。

みんなにとって正しいことをしたはずなのに。

 

それなのに「無視」が始まってしまった。

それがショックだった。

 

この女子達に大切なのは。

良い行いでも、正しさでもなかった。

 

ただ自分の感情を満足させること。

感情に従って生きる事こそが大切な人達なんだとわかって、それがつらかったのだ。

指さしてひそひそ

それから後にきたのは。

「指をさしてひそひそ話」だった。

 

ひらりを指さして。

口元を手で隠しながらひそひそ話をする。

 

ひらりがそちらへ視線をやると、途端にやめる。

 

噂話をしてますよと分かりやすく表現しながらも、そんなことしてませんしという態度を付け加える。

女子特有のいやらしさというか。

 

何を言われてるかもわからないし、実際は言われてないのかもしれないし。

だけど指をさしたりして、こそこそ話をしたりして、ひらりを睨みつけたりしながら、どうしても気になるようなやり方をする。

 

ここで彼女たちが伝えたい事と言えば。

「あなたは良く思われてないよ。」

「あなたは嫌われてるよ。」

「あなたのことみんなで話してるよ。」

といったところだろうか。

 

もう一歩踏み込んでいえば。

だからあなたと付き合う気はない。

 

そういうメッセージを示している。

 

ひらりは、このひそひそ話にも辟易としていた。

先生の前ではやらないのに、自分の前だけでいじめをやる。

 

女子達が先生の前で出す顔と、自分の前に出す顔が。

まるで別人のように違っていて気持ち悪いと言っていた。

 

子ども達の無垢で剥き出しの悪意は。

そうやって素直に顔に出てたんだと思う。

 

自分を守るので頭がいっぱい

ばい菌いじめを受けていた男子はどうしてるかといえば。

なんと春子ちゃんと一緒になって、ひらりを避けていた。

 

もしかしたらその男子は。

 

ひらりに助けてもらったことで、男のプライドが傷ついたのかもしれない。

もしくは春子ちゃんからまたいじめられるのがいやで、言うことを聞いているのかもしれない。

ひらりの前で恰好をつけたくて、それで冷たくしてるのかもしれない。

 

ばい菌いじめを受けていた男子の真意はさっぱりわからなかったけど。

豹変した春子ちゃんと同じように。

その男子も変わってしまった。

 

ひらりはそれもショックだったし。

なんでそんな態度をとられるのか分からなくて困惑していた。

 

だけど。

いじめから助けられた子が、いじめる側にまわったりするのはよくある話で。

 

私も似たような経験があったなって思った。

親身になって話を聞いていても。

親友になろうって言われても。

結局彼女が求めたものは自身の安全だった。

58.人間不信になりそう。学校では底意地の悪いいじめが横行 そういうわけで。 小学4年生の前半は教室で孤立していて、周囲から要らない子扱いをされていた。 https://mam...

 

誰しも傷つくのは嫌なものだ。

誰しも悲しい思いはしたくないものだ。

 

正しいかどうかより、良い事かどうかより、人としてどうかより。

痛みを感じない人生を選択する人は、本当に多いんだと思う。

無所属女子の対応

このクラスには、どのグループにも属していない女子が2人いた。

1人は誰とも喋らない子。

この子は誰とも喋らないので、もちろんひらりとも喋らない。

 

喋らないけど、ちょっとした意思表示はあるようで。

彼女はしゃべらないなりに、よく周りをみている。

 

ひらりに対しての態度は。

無視や拒絶は感じないけど。

やはり喋らないままだったし、YESでもNOでもない曖昧な感じだったようだ。

 

もう1人は、どのグループにも率先して属そうとしない子。

彼女はどの子とも仲良くしていたい気持ちが強かったようで、女子のなかにグループができていることすら気がついていないようだった。

 

彼女のひらりに対する態度は。

友好的ではないものの、無視はされてなかった。

ただ。

あんまり話しかけないでという雰囲気や、話しかけられるのを回避している様子はあると言っていた。

 

女子の人間関係は本当に難しい。

一歩対応を誤れば明日は我が身。

 

いじめそのものをやらなければいいのに。

それよりは自分がいじめに遭わない道を選択してしまうから。

どうしたっていじめがなくならない。

自分だけは安全でいたいと思うから。

どうしたっていじめはなくならない。

 

自力で立ち向かう娘

私はひらりから色々話を聞いていて思った。

とうとうこうなってしまった、と。

 

ひらりに落ち度があってこうなったわけではない。

ひらりを陥れたい輩がいるからこそ、こうなった。

そしてそれを望んでたのは、隣に住む三津屋親子だった。

 

ずっと友人を取り上げられてきた。

ずっと悪口を言われ足を引っ張られてきた。

ずっと冷たい態度をとられ輪から外されてきた。

 

私達は真面目に前向きに、良心に恥じない生き方をしているのに。

人をうらまず、自分を変え。

皆と共に生きてゆきたいと思っているのに。

それなのに、私達親子は窮地に追い込まれる。

 

一方、手練手管に長けた三津屋親子は。

人の心を悪意に染め、人を操り、恐怖で縛って。

そうやって自分の思いを叶えていく。

 

これが、これが本当にこの世の中なのだろうか?

こんなのが、この世の生き方なのだろうか?

 

自分の欲のために平気で手を汚していくのが。

人間がするべき生き方なのだろうか?

 

じわじわと首が絞まっていくような感覚の中。

長い時間をかけて、じわじわと三津屋さんの望む「孤立」という完成にむけて進んでいる。

そんな気配がしていた。

特に気にしてないと言う

そんな状態でも。

ひらりはまっすぐだった。

 

私は間違っていない。

私は自分に恥じない行いをした。

今までだって、これからだって、私はそうする。

 

だからいじめなんて気にしない。

 

ひらりはそう言った。

先生にも自分から相談すると言った。

 

今までは「ママからも言って」という要望があったけど。

今回は自分で相談すると言った。

 

女子達は巧妙に自分たちの行いを隠している。

先生の前ではとてもいい子だ。

そんな状況で、先生に上手く伝わるのだろうか?

 

ひらりは勇気をだして先生にいじめを伝えたけど。

やっぱり予想通りだった。

まずは証拠がないと、話が進まない。

そして先生の目が光っている間だけしか効果がない。

 

ひらりは毎朝緊張しながら学校へ行く。

休むとも、行きたくないとも言わない。

 

私の心配が顔に出てしまったのか。

ひらりは「大丈夫、気にしてないから。」と言う。

 

この子を、この子の心を守ってあげたいのに、それすらできない。

どんな傷もつけたくないのに、それができない。

 

「あなたはいじめる側に回らなくて本当に偉かったね。すごいことだよ。ママはひらりを誇りに思っているよ。」

 

私がひらりにしてあげられるのは。

ひらりの行いとひらりの生き方を心から尊敬することだけだった。